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State of the art 腫瘍免疫研究の最前線

制御性T細胞と消化器癌

竹内美子西川博嘉

大腸がんperspective Vol.4 No.2, 26-32, 2019

免疫抑制活性を有する制御性T細胞は,健康人では自己免疫寛容を維持することで免疫ホメオスタシスを保つ上で重要な働きを司るが,がん患者では抗腫瘍免疫を抑制しがんの進展に寄与している。腫瘍内の制御性T細胞はがん患者の予後不良因子であることから,制御性T細胞をコントロールすることで抗腫瘍活性の増強が期待できると考えられ,新規のがん免疫療法のターゲットとして注目を集めている。本邦のがん死亡数の上位を占める消化器癌においては,他のがん種と異なり制御性T細胞のかかわりが十分に解明されてこなかったが,近年の解析技術の進歩によりがん微小環境における制御性T細胞の役割が明らかになりつつある。結腸直腸癌では,制御性T細胞による抗腫瘍免疫の抑制が優位な群と,結腸細菌の慢性感染を背景に発癌し制御性T細胞は存在するものの炎症性のT細胞応答によって予後良好な群が存在している。胃癌においてもピロリ菌と制御性T細胞の関連が報告されている。こういったがんの個別性や亜集団のがん免疫応答のさらなる解明によって,がん免疫療法の治療選択のためのバイオマーカーや新規治療の開発が加速することが期待される。
「KEY WORDS」制御性T細胞,免疫チェックポイント,Fusobacterum,ICOS

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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