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State of the art 直腸癌治療における側方郭清の意義と位置づけを再考察する

JCOG0212をどのように読み解くか。臨床への応用。

金光幸秀志田大塚本俊輔落合大樹

大腸がんperspective Vol.3 No.2, 24-29, 2016

「Summary」本邦では下部直腸癌を腫瘍の下縁が腹膜反転部と肛門縁の間に存在すると定義することが一般的である。欧米では,肛門縁からの距離で定義されることが多いのに対し,本邦での定義は,直腸のリンパ流の研究に基づいている。直腸のリンパ流は,腹膜反転部より口側では直腸間膜内を上向する上方リンパ流のみである一方,腹膜反転部より肛門側では上方リンパ流に加えて側方向への側方リンパ流が存在する。そのため,腹膜反転部以下に腫瘍の下端を有する直腸癌は側方リンパ節転移が生じやすく,標準術式として直腸間膜全切除(total mesorectal excision;TME)に加えて側方リンパ節郭清を行う根拠の一つになっている。これに対して,欧米では下部進行直腸癌に対し術前放射線化学療法+TMEが標準とされている。異なる患者集団における異なる手技を比較するのは難しいことから,本邦の33病院において,TME単独療法のTME+側方郭清療法に対する非劣性を検証するランダム化比較試験(JCOG0212)が行われた。術後短期成績では,側方郭清を加えても術後合併症,排尿障害,性機能障害の発生頻度には有意差がなく,側方郭清が安全に施行可能であることが示された。
「Key words」下部直腸癌,側方郭清,自律神経温存,JCOG0212,ランダム化比較試験,標準治療

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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