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Catch Up 分子生物学

腸内細菌叢と大腸癌の関連について

玉井皓己西村潤一高橋秀和原口直紹畑泰司竹政伊知朗水島恒和山本浩文土岐祐一郎森正樹

大腸がんperspective Vol.2 No.4, 46-50, 2016

[テーマ文献①]Belcheva A, Irrazabal T, Robertson SJ, et al. Gut microbial metabolism drives transformation of MSH2-deficient colon epithelial cells. Cell. 2014 Jul 17 ; 158(2) : 288-99.
[テーマ文献②]Irrazábal T, Belcheva A, Girardin SE, et al. The multifaceted role of the intestinal microbiota in colon cancer. Mol Cell. 2014 Apr 24 ; 54(2) : 309-20.

「Summary」宿主と共存関係にある腸内細菌叢は,腸内環境の恒常性に重要な役割を果たしている。腸内細菌叢の変化(dysbiosis)は恒常性の破綻を意味し,炎症惹起や発癌の原因となることがわかってきた。免疫応答に係るパターン認識受容体や,炎症や細胞死に関与する蛋白質複合体であるInflammasomeは腸管免疫の恒常性の維持に寄与しているが,これらの異常によってdysbiosisが生じ,発癌に至る。また,腸内細菌が産出する遺伝毒性物質や代謝関連物質が発癌の原因となることもある。Belchevaらは,APC遺伝子変異と癌修復遺伝子変異を有するマウスでは,腸内細菌により産生される酪酸がβ-cateninを活性化し,上皮細胞の異常増殖をきたすことを明らかにした。腸内細菌と大腸癌の関係を明らかにすることは,大腸癌治療の新規開発に繋がることでもあり,さらなる研究の発展が期待される。
「Key words」腸内細菌叢,大腸癌,dysbiosis

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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