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State of the art 癌幹細胞研究の最前線

癌幹細胞の浸潤転移制御における代謝の役割

今野雅允浜部敦史土岐祐一郎森正樹石井秀始

大腸がんperspective Vol.2 No.4, 34-38, 2016

「Summary」癌幹細胞は造腫瘍能,自己複製能,治療抵抗性,浸潤転移能をもつまさに癌の悪性度を産み出す親玉であると考えられている。癌幹細胞の浸潤転移能を制御する因子の一つとしてわれわれは核内ピルビン酸キナーゼ(PKM2)が転写制御を行うことで上皮間葉転換を引き起こすことを明らかにした。PKM2は細胞質内において癌特異的嫌気性代謝(Warburg効果)を産み出す代謝酵素として近年注目を集めているが,この分子は代謝酵素に留まらず核内移行することで転写調節因子としても機能することが明らかとなっている。われわれはこの核内PKM2がタンパク質複合体を形成することによりE-cadherinの発現制御をし,上皮性の細胞を間葉系の性質へと変化させることで癌幹細胞の浸潤転移を制御していることを明らかにした。本稿においてはPKM2が産み出す癌特異的代謝と核内PKM2による浸潤転移のメカニズムについて概説する。
「Key words」PKM2,Warburg効果,EMT,TGIF2

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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