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Catch Up 分子生物学

癌における解糖系酵素の制御とその働き

浜部敦史山本浩文今野雅允植村守西村潤一畑泰司竹政伊知朗水島恒和Hugh Colvin西田尚弘川本弘一小関準土岐祐一郎森正樹石井秀始

大腸がんperspective Vol.2 No.3, 49-53, 2015

[テーマ文献①]Patra KC, Wang Q, Bhaskar PT, et al. Hexokinase 2 is required for tumor initiation and maintenance and its systemic deletion is therapeutic in mouse models of cancer. Cancer Cell. 2013 Aug 12 ; 24(2) : 213-28.
[テーマ文献②]Kaplon J, Zheng L, Meissl K, et al. A key role for mitochondrial gatekeeper pyruvate dehydrogenase in oncogene-induced senescence. Nature. 2013 Jun 6 ; 498(7452) :109-12.

「Summary」癌細胞に特有の糖代謝システムであるWarburg効果は,糖代謝関連酵素の発現・活性が変化することによって維持されている。ヘキソキナーゼ2(HK2)および非活性型ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の上昇は,それぞれ解糖促進およびクエン酸回路への流入阻害を介して,Warburg効果形成に寄与している。最近報告されたHK2およびPDHの研究により,これらの酵素の詳細な機能が検討され,酵素を標的とする治療が有効である可能性が示された。しかし,癌における代謝システムが,癌細胞が浸潤する過程においてどのような意義をもつかはこれまで明らかとされていない。浸潤において,癌細胞は上皮間葉転換(EMT)という細胞レベルの変化を受けて,間葉系形質を獲得するが,われわれの研究によりEMT変化がHK2上昇および活性型PDHの上昇を伴うことが示された。癌における代謝の機能は不明な点が数多く存在し,これらを明らかにしていくことで新規治療の確立へとつながることが期待される。
「Key words」Warburg効果,ヘキソキナーゼ2,ピルビン酸デヒドロゲナーゼ,上皮間葉転換

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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