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Q&A レジデントのための診療のEssence

Q.ストロンチウム-89による骨転移の治療について教えてください。外部照射とストロンチウム-89治療にはどのような違いがありますか?

伊藤芳紀

大腸がんperspective Vol.2 No.2, 60-63, 2015

「Answer」
・ストロンチウム-89内用療法は,有痛性骨転移に対する疼痛緩和を目的として,単回静脈内投与により全身の骨転移病巣の造骨活性を有する部位に集積し,骨転移病巣を内部から局所的に照射する治療法です。
・ストロンチウム-89内用療法と外部照射との違いとして,照射目的,対象,照射方法,治療後の放射線安全管理,有害事象などがあります。
「ストロンチウム-89の特性・疼痛緩和機序」ストロンチウム-89は物理的半減期50.5日で高エネルギーβ線を放出します。β線の最大エネルギーは1.49MeVで,組織中の飛程は平均2.4mm,最大でもわずか8mmです。ストロンチウムは骨ミネラル構成成分のカルシウム(Ca)と同族元素であり,造骨細胞によるコラーゲン合成とミネラル化に依存して,骨転移病巣の造骨活性を有する部位に集積し,骨転移病巣を局所的に照射します。したがって,正常骨髄への被曝は骨転移部位の約1/10と少なく,また,単回静脈内投与で全身の骨転移部位を照射することが可能なので,多発性骨転移に有効です。疼痛緩和機序については,腫瘍細胞,造骨細胞や破骨細胞に対しストロンチウム-89からのβ線による直接的な効果と,この照射により造骨細胞からの産生が亢進された骨生化学的修飾因子による間接的効果の,相互作用によるものと推察されています。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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