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Catch Up 分子生物学

KRAS遺伝子に着目した大腸癌治療の新たな展開

平木将之西村潤一山本浩文土岐祐一郎森正樹

大腸がんperspective Vol.2 No.2, 44-47, 2015

[テーマ文献①]Singh A, Sweeney MF, Yu M, et al: TAK1 inhibition promotes apoptosis in KRAS-dependent colon cancers. Cell 148: 639-650, 2012
[テーマ文献②]Shao DD, Xue W, Krall EB, et al: KRAS and YAP1 converge to regulate EMT and tumor survival. Cell 158: 171-184, 2014

「Summary」特定の遺伝子に対する分子標的治療薬の研究が進む中,さまざまなヒトの癌種で一般的に認められるKRAS変異は,いまだ治療抵抗性の大きな課題となっている。大腸癌においても,KRAS野生型大腸癌に対しては抗EGFR抗体が奏効するが,約4割に認めるRAS変異型の患者には治療効果が期待できないことが知られている。Singh Aらは,KRAS変異型大腸癌をKRAS依存性と非依存性大腸癌に分類し,KRAS依存性大腸癌細胞株のメカニズムと治療標的となる新規遺伝子TAK1を同定した。また,Shao DDらは,ノックダウンしたKRASの働きをrescueするYAP1分子に注目し,新規標的分子の可能性を述べた。このようなKRAS変異型大腸癌における新たなメカニズムの解明と標的遺伝子の同定は,KRASの変異を指標とした現在のテーラーメイド治療に新たな可能性を示唆し,患者予後の改善が期待できる。
「Key words」KRAS変異型大腸癌,KRAS依存性,TAK1,YAP1

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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