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臨床ガイド

補体抑制療法における髄膜炎菌感染症のリスク管理

川口辰哉

PNH Frontier No.6, 28-33, 2019

エクリズマブ(eculizumab,ソリリス®)は補体成分C5に対するヒト化単クローン抗体製剤であり,C5以降の終末補体反応をほぼ完全に阻止することが可能なfirst-in-classの補体阻害薬である。本薬剤は2010年に発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria;PNH)の治療薬として上市され,すでに700名以上のPNH患者に投与されている1)。最近では補体制御異常を基礎病態とする非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome;aHUS)や全身型重症筋無力症(generalized myasthenia gravis;gMG)にも保険適応が拡大され,補体抑制療法を受ける患者数は確実に増加している。さらに,エクリズマブの分子構造を改変して半減期を約4倍に延長した新薬ラブリズマブ(ravulizumab)の実用化をはじめ2),多様な標的に対する補体阻害薬の開発ラッシュとなっており,補体抑制療法も新たな展開を迎えつつある3)
一方で,補体抑制療法で共有される診療上のジレンマは,補体阻害薬の主作用を追求すればするほど感染症のリスクを高める結果となることである。特にエクリズマブは,終末補体反応を阻害することで髄膜炎菌感染症のリスクを健常人の1,000~2,000倍に高めるとされ,その対策がきわめて重要である4)。そこで本稿では,エクリズマブ治療における髄膜炎菌感染症のリスク評価と最小化の方策(risk evaluation and mitigation strategy;REMS)に関する現状と課題について解説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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