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ゼロから始めるVTE診療HOW TO

VTEと奇異性脳塞栓症

金丸拓也松本典子木村和美

Cardio-Coagulation Vol.5 No.4, 47-51, 2018

通常,静脈で形成された血栓は右心系を通って肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)を生じる。ところが,卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO),肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula:PAVF),心房中隔欠損(atrial septal defect:ASD)などのシャント性疾患があると,右心系の血栓がこれらのシャントを通って左心系に流入し,脳血管系を閉塞することにより脳梗塞を生じることがある。これを奇異性脳塞栓症(paradoxical cerebral embolism)と呼び,1877年にCohnheimによってはじめて報告された1)。わが国では,脳梗塞とPTEの剖検例で卵円孔を介した右房と左房を結ぶ紐状血栓を認めた1例について,木村らがはじめて報告している2)。現在,エコー検査によって奇異性脳塞栓症の診断が容易になったことにより,奇異性脳塞栓症は若年者や原因不明の脳梗塞例で頻度が高いことが明らかになっている。
本稿では,奇異性脳塞栓症の病態や診断および治療方法を概説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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