Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 Learn more from previous clinical trial
切除不能進行胃がんに対する併用一次化学療法の4試験(KEYNOTE-062,ATTRACTION-4,CheckMate-649,Javelin Gastric-100)
がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 117-121, 2022
胃がんにおける免疫チェックポイント阻害薬は,ATTRACTION-2試験1)において三次治療以降におけるニボルマブのプラセボに対する延命効果が示されたことを受けて,2017年9月に薬事承認され,また,KEYNOTE-158試験2)においてマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability high;MSI-H)を示す固形がんに対してペムブロリズマブが良好な奏効率(全体34.3%,胃がん45.8%)を示したことにより2018年12月に薬事承認された。現在,『胃癌治療ガイドライン第6版』でも,切除不能進行胃がんにおける三次治療以降のニボルマブおよびMSI-H患者における二次治療でのペムブロリズマブが「推奨される」化学療法として記載されており,日常診療で広く使われている
切除不能進行胃がんに対する一次化学療法における免疫チェックポイント阻害薬の効果を検証するための4つの第Ⅲ相臨床試験(KEYNOTE-0623),Javelin Gastric-1004),CheckMate-6495),ATTRACTION-46))の結果が発表されたが,これら4つの試験は,対象,併用薬剤,デザイン,統計学的設定などが異なり,CheckMate-649試験だけが全生存期間(OS)における免疫チェックポイント阻害薬の有意な上乗せ効果を示したなど,結果も異なる。本稿では,それらの共通点や相違点を検討し,1つの臨床試験からは知ることができない臨床的な疑問点について考察する。
本稿が発表されるときには,切除不能進行胃がんに対する一次治療におけるニボルマブが承認されていることが期待されているが,本稿作成時の2021年9月時点では未承認であるため,記載内容が承認条件やその後の『最適使用推進ガイドライン』での内容と異なる可能性があるため,ご注意いただきたい。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。