<< 一覧に戻る

Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 Cancer biology and new seeds

腫瘍血管の光超音波イメージング

松本純明張琦戸井雅和

がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 74-80, 2022

腫瘍が悪性化の過程で作り出す新生血管は異常な形態をとり,さまざまな機能不全をきたしている。腫瘍微小環境は低酸素,低pHとなり,薬物,放射線療法の効果を低下させる。殺細胞薬と血管新生阻害薬の併用は有効な組み合せであるが,その背景には腫瘍血管の正常化という現象が関与し,これによって薬剤送達が回復してよりよい治療成績につながっていると考えられる。しかしながら,正常化が続く期間は限られており,血管新生阻害薬の投与量や期間は慎重に決定する必要がある。そのためには適切な腫瘍血管イメージング技術が求められる。光超音波イメージングは無被曝で血管形態の精細な描出と酸素飽和度指標を計測できるだけでなく,その非侵襲性により繰返し測定が可能であることは,腫瘍血管の詳細なモニタリングに最適である。また,腫瘍に応じた分子プローブの開発によりさまざまな分子イメージングが行えるという応用可能性の大きさも注目されている技術である。
「KEY WORDS」腫瘍血管新生,腫瘍血管の正常化,光超音波イメージング,分子イメージング

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る