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Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 State of the art reviews and future perspectives

抗がん剤封入高分子ミセルと免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた化学免疫療法

喜納宏昭片岡一則

がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 16-21, 2022

抗がん剤を封入した高分子ミセルの3つの治験が第Ⅱ相で進行中である。抗がん剤ミセルに加えて,2020年より新たに核酸(siRNA)のデリバリーシステム(DDS)の医師主導治験が開始されており,さまざまな用途で高分子ミセルが新しいDDSとして実用化に向けて治験が進行している。最近の治験では,頭頸部がんに対するシスプラチンミセルとペムブロリズマブの併用(第Ⅱ相)が開始しており,また前臨床研究において,エピルビシンミセルと免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の併用がICI耐性の脳腫瘍モデルで高い効果があることなど,高分子ミセルとICIとを併用した化学免疫療法の有効性を示すデータが集まりつつある。ICIと高分子ミセルとの併用は,CD8,樹状細胞などががん内へ浸潤し,飛躍的に高い抗腫瘍効果が示されている。また,新たなDDSとして免疫関連有害事象(irAE:間質性肺炎など)を回避しながら,脳へICIを運ぶリガンド搭載デリバリーシステムの開発も進展している。本稿では,高分子ミセルとICIを併用した化学免疫療法を中心に最近の研究であるICIの脳へのデリバリーシステムについても解説する。
「KEY WORDS」化学免疫療法,高分子ミセル,抗がん剤内包ミセル,核酸DDS,免疫チェックポイント阻害薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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