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RET阻害薬pralsetinib,selpercatinibの成功とバンデタニブの失敗

髙森信吉瀬戸貴司

がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 116-119, 2021

近年,進行・再発非小細胞肺がんのドライバー遺伝子を標的とした分子標的薬が開発され,標準治療の1つとなっている。2012年,新規ドライバー遺伝子としてRET融合遺伝子が発見された1)2)。RETはヒト10番染色体長碗に存在し,RET受容体型チロシンキナーゼをコードする遺伝子である。RET融合遺伝子陽性の肺がんは1~2%の頻度で認められ,RET阻害活性を有するマルチキナーゼ阻害薬であるバンデタニブ,カボザンチニブなどを使用した実験で抗腫瘍効果を示された。RET融合遺伝子陽性の肺がんにおけるRET阻害薬によるprecision medicineが期待され,RET阻害薬の臨床試験が国内外で行われた。また,RETキナーゼに標的を特化したpralsetinibやselpercatinibなどの選択的RET阻害薬が開発され,さまざまな臨床試験において,その効果が検討されるようになった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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