Theme がんゲノム医療を検証する State of the art reviews and future perspectives
新しい遺伝子スクリーニング~薬剤耐性情報に基づく治療開発のための耐性遺伝子スクリーニングプロジェクトLC-SCRUM-TRY~
がん分子標的治療 Vol.19 No.1, 35-40, 2021
進行非小細胞肺がんに対する初回薬物治療は,ドライバー遺伝子陽性例に対する分子標的治療と,ドライバー遺伝子陰性例に対する免疫チェックポイント阻害薬+殺細胞性抗がん剤の複合免疫療法に大別される。これらの薬物療法は一時的に治療効果を示しても,経過中にほぼ全例で薬剤耐性化をきたす。薬剤耐性化の原因となる分子機序は多様であるが,薬剤耐性例において,耐性機序に基づいた個別化医療は確立されていない。われわれは,2020年9月より,耐性機序に基づいた耐性克服治療の確立を目的として,新たに薬剤耐性遺伝子スクリーニングプロジェクト(LC-SCRUM-TRY)を開始した。2021年3月時点ですでに457例の非小細胞肺がん患者が登録され,治療耐性後の検体を用いた次世代シークエンス解析によってさまざまな耐性関連遺伝子異常が同定されている。今後は,初回治療前の遺伝子診断に基づいた薬剤選択のみならず,薬剤耐性後においても,遺伝子解析情報に基づく最適な耐性克服治療が確立されていくことが期待される。
「KEY WORDS」ドライバー遺伝子異常,分子標的薬,薬剤耐性,マルチ遺伝子解析,リキッドバイオプシー,個別化医療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。