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Theme 固形がんに対する免疫療法と分子標的治療の進歩 Learn more from previous clinical trial

切除不能進行再発胃・食道胃接合部がんの一次治療における免疫チェックポイント阻害薬の有効性

土井綾子砂川優

がん分子標的治療 Vol.18 No.2, 104-107, 2020

2019年のAmerican Society of Clinical Oncology(ASCO)Annual Meetingで,切除不能進行再発胃・食道胃接合部がんの一次治療における免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ単剤,もしくは化学療法との併用,および化学療法の3群を無作為化比較した第Ⅲ相臨床試験であるKEYNOTE-062試験の結果が発表された1)。進行再発胃がんを対象とした二次治療におけるペムブロリズマブの有効性を検証したKEYNOTE-061試験では,標準治療パクリタキセルに対してペムブロリズマブの優越性が示されなかったが,programmed death-ligand 1(PD-L1)発現率(PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で除し,100を乗じた数値)を表すcombined positive score(CPS)が高い症例に対するサブグループ解析では,ペムブロリズマブの有用性が期待されていた2)。よって,KEYNOTE-062試験では,CPSが10%以上(CPS≧10)のPD-L1陽性症例グループを設定し,ペムブロリズマブの有効性が検証された。その結果,全生存期間(OS)に関して,化学療法に対するペムブロリズマブ単剤の非劣性は示されたものの,ペムブロリズマブ併用化学療法の優越性は示されず,有意な上乗せ効果は認められなかった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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