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Theme 固形がんに対する免疫療法と分子標的治療の進歩 Cancer biology and new seeds

がん光免疫療法

佐藤大幹矢野友規

がん分子標的治療 Vol.18 No.2, 64-68, 2020

光免疫療法(photoimmunotherapy;PIT)は,光感受性物質IR700と結合したモノクローナル抗体の複合体と光を用いた治療法である。抗体-IR700複合体が標的細胞に結合後に赤色光を照射すると,励起したIR700が細胞膜を傷害,標的細胞特異的に細胞死を誘導する。正常細胞に対する影響が少ない点,破壊された腫瘍細胞からのがん抗原によって腫瘍免疫が誘導される可能性がある点など,その独特な作用機序によって注目されている。現在セツキシマブ-IR700複合体を用いて,epidermal growth factor receptor(EGFR)を標的とした治療開発が進んでおり,頭頸部扁平上皮がんに対する国際第Ⅲ相臨床試験,国内において食道がんおよび胃がんを対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験が進行中である。今後さまざまながん腫や病態へと治療対象が広がっていくことが期待される。
「KEY WORDS」光免疫療法,上皮成長因子受容体,頭頸部扁平上皮がん,食道がん,胃がん

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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