成人T細胞性白血病リンパ腫(ATLL)はヒトT細胞性白血病ウイルスⅠ型(HTLV-Ⅰ)キャリアの約5%に,長い潜伏期間の後に発症するきわめて予後不良なT細胞性リンパ腫であり,新規治療標的が求められている。筆者らのグループは,HTLV-Ⅰ由来のHBZ転写因子がヘルパーT細胞サブセットの分化に関わるBATF3/IRF4転写因子複合体を制御し,ATLL細胞の増殖・生存を司ることを発見した。さらに,BATF3遺伝子座に形成されるスーパーエンハンサー機能をBET阻害薬で抑制することにより,HBZ/BATF3/IRF4転写因子ネットワークを遮断できることを見出した。
「KEY WORDS」ATLL,HBZ,BATF3,IRF4,スーパーエンハンサー