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乳がん再発リスクが中間程度の患者に対する術後補助化学療法
がん分子標的治療 Vol.17 No.1, 96-100, 2019
乳がんは米国においても女性に最多のがんであり,そのうちの約半分がホルモン受容体陽性,リンパ節転移陰性(n0)乳がんである1)2)。かつてのデータによると,術後補助化学療法は若年女性により有効であったが,リンパ節転移,grade,ホルモン療法との併用による差はなかった3)-7)。米国国立衛生研究所(NIH)のコンセンサスパネルは多くの患者に術後補助化学療法を推奨し,それにより死亡率低下が認められたが8)9),化学療法が不要である可能性もいまだ残っている。
Oncotype DX(ODX)は,ホルモン受容体陽性乳がんを対象とした市販の多遺伝子検査の1つである。ODXによる再発スコア(recurrence score;RS)は21遺伝子から0~100で示され,31以上あるいは26以上では化学療法の有用性が高く,10以下ではホルモン療法単独の10年遠隔再発率が2%と,化学療法が不要である可能性が高い10)-12)。エキスパートパネルはODXの使用を勧めているが13)14),患者の多くを占めるmid-rangeでの化学療法の有用性は不明である。
TAILORx試験は,RS 11~25のmid-rangeの患者で化学療法の有用性があるか,RS 10以下の患者の遠隔転移制御がホルモン療法のみで良好かという点を明らかにするためにデザインされた,臨床的バイオマーカーのための最高エビデンスレベルの前向き試験である15)。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。