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Round Table Meeting

Somatic/germline変異とがん医療:研究の最前線と臨床展開

戸井雅和三木義男小川誠司山本信之

がん分子標的治療 Vol.17 No.1, 62-68, 2019

がん関連遺伝子の解析が進み,特定の遺伝子あるいは遺伝子変異に対する分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬が開発され,日常診療においても遺伝子検査が不可欠になっている。治療薬の多くはsomatic変異(体細胞変異)を標的としているが,germline変異(生殖細胞系列変異)に対する治療薬の開発も行われており,その代表が乳がんなどのBRCA1/2変異に対するPARP阻害薬である。Germline変異は乳がんに限らず,多くのがんにみられることもわかってきた。
近年は遺伝子パネル検査によって複数の遺伝子の解析を一度に行うことが可能になっている。日本でもこれまでは一部の施設で先進医療として行われてきたが,2018年末に2つの検査システムが製造販売承認され,2019年内にも公的医療保険が適用される見込みである。それに伴い,いくつかの懸念も浮かび上がっている。本来,遺伝子パネル検査は治療薬の選択を目的に行われるが,同時に潜在的な遺伝性疾患の原因遺伝子も検出される可能性がある。そのため,検査にあたっては遺伝カウンセリングの体制が必要になるが,現時点で臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーの数は十分ではないのが実情である。検査はがんゲノム医療中核拠点病院およびがんゲノム医療連携病院で実施されるが,検査できる患者数は限られ,また検査結果を解釈できる人材の育成も課題となっている。
※本座談会は2018年12月27日に実施され,記載内容は2018年末時点のものとなります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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