Theme Somatic/germline変異とがん医療
Germline変異が関与する大腸がんとその治療
がん分子標的治療 Vol.17 No.1, 51-56, 2019
リンチ症候群は,ミスマッチ修復機構に関与する遺伝子の生殖細胞系列バリアントが原因となり,大腸がんや子宮内膜,卵巣,胃,小腸,肝胆道系,腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる遺伝性疾患である。その診断スクリーニングとして,ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を調べる免疫染色検査やマイクロサテライト不安定性(MSI)検査が行われる。散発性を含めたdMMR大腸がんは,stage Ⅱ~Ⅲでは約5~10%を占め,stage Ⅱでは予後がきわめて良好であることから術後補助化学療法を行わないことが推奨される。切除不能の遠隔転移を伴う大腸がんでは,dMMRの場合でも通常の薬物療法が行われてきたが,近年,免疫チェックポイント阻害薬の有用性が報告されている。2018年12月には日本でもMSI-high固形がんに対してペムブロリズマブが保険適用となり,今後の展開が注目される。
「KEY WORDS」germline変異,リンチ症候群,dMMR/MSI-H,免疫チェックポイント阻害薬,ペムブロリズマブ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。