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Theme Somatic/germline変異とがん医療

多発性内分泌腫瘍のgermline変異

福岡秀規

がん分子標的治療 Vol.17 No.1, 46-50, 2019

多発性内分泌腫瘍(MEN)は,家族性に内分泌組織を中心とした多発性腫瘍を呈する稀な遺伝性疾患である。臨床像によりMEN1型,2型に分けられ,それぞれ原因遺伝子としてMEN1RETが同定され,単一遺伝子疾患と考えられている。MEN1はがん抑制遺伝子であり,メニン蛋白をコードする。メニンは転写因子の補酵素として,またクロマチン修飾を調整する複合体の一要素として,さまざまな遺伝子の転写活性を調整している。MEN1変異を認めないMEN1型症例のなかに近年,サイクリン依存性キナーゼ阻害因子であるp27,p18,p21,p15をコードするCDKN1BCDKN2CCDKN1ACDKN2Bの異常が報告されている。一方のRETはがん原遺伝子であり,チロシンキナーゼ型受容体であるRET蛋白をコードする。その機能獲得型germline変異により甲状腺,副腎,副甲状腺などに腫瘍を呈する。本稿では,MENに認めるこれらの遺伝子とその生理機能,変異による病態についての概説を,最新の知見を交えて紹介する。
「KEY WORDS」多発性内分泌腫瘍,MEN1,メニン,RET,遺伝子型-表現型相関

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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