Pharmacogenomics and biomarker
PD-1阻害がん免疫療法におけるミトコンドリアを介したエネルギー代謝の重要性
がん分子標的治療 Vol.16 No.2, 90-93, 2018
T細胞におけるエネルギー代謝は,細胞増殖や機能を制御し,抗腫瘍免疫に強く影響を及ぼす。PD-1はT細胞の増殖と機能発揮に最適な代謝の状態を阻害し,エフェクター機能を抑制する。がん患者の生存期間はPD-1阻害療法により延長したが,抵抗性または低反応性を示す患者が多く存在することが問題となっている。近年,われわれはミトコンドリア活性化薬がT細胞の代謝経路を移行させ,PD-1阻害療法の抗腫瘍効果を増強させることを示した。これらの発見は,効果予測バイオマーカーやPD-1阻害療法との併用療法を開発する新しい戦略となることが期待される。
「KEY WORDS」エフェクターT細胞,解糖系,脂肪酸酸化,酸化的リン酸化,ベザフィブラート
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。