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再発・難治性B-ALLに対するinotuzumab ozogamicinと標準療法の第Ⅲ相無作為化比較試験(INO-VATE ALL trial)の結果

嶋田高広松村到

がん分子標的治療 Vol.15 No.4, 99-102, 2017

成人B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-cell acute lymphoblastic leukemia;B-ALL)は初発例では多剤併用化学療法によって60~90%の完全寛解(CR)が得られるが,3年以上の長期の寛解期間を得られるのはそのうち約30~50%である1)-4)。再発・難治例の成人B-ALLに対する現在の標準的な化学療法レジメンによるCR率は,1回目の救援療法で31~44%程度, 2回目の救援療法なら18~25%にとどまる5)-7)。現在のところ同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation;allo-HSCT)が唯一の治癒を目指せる治療法であるため,救援療法の目的はallo-HSCTに移行することである。CR状態であることがallo-HSCTに移行するための必要条件であるが,現在の標準的な化学療法レジメンによるCR率の低さのため,allo-HSCTに移行できる症例は非常に少ない(5~30%)5)-9)。再寛解後にallo-HSCTが可能な症例では,これによる予後改善が期待できるため10),いかにallo-HSCTに移行できるかが治療成功の鍵となる。
細胞表面抗原CD22はB前駆細胞の細胞質や成熟B細胞の表面に発現するB細胞特異抗原であり,B-ALL症例の90%以上に発現しており11)-13),B細胞性悪性腫瘍の治療標的として注目されている14)15)。Inotuzumab ozogamicin(IO)は細胞傷害性の抗生物質であるカリケアマイシンの一種であるozogamicinをヒト化抗CD22モノクローナル抗体(免疫グロブリンG(IgG)4)に接合させた抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate;ADC)である16)17)。IOが細胞表面のCD22に結合すると抗原-抗体複合体は速やかに細胞内に取り込まれ,リソソームで分解され,ozogamicinが放出される16)17)。OzogamicinはDNAの副溝(minor groove)に結合して二重らせん構造を破壊し,その結果細胞はアポトーシスに陥る18)。先に行われた再発・難治性B-ALLに対するIO療法の第Ⅱ相臨床試験では,その抗腫瘍効果が確認されている19)。また,米国においては,2015年に米国食品医薬品局から画期的治療薬の指定を受けている。
本稿では,再発・難治性B-ALLに対するIO療法と標準療法の第Ⅲ相無作為化比較試験(INO-VATE ALL trial)の結果20)について概説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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