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がん抑制因子p53を標的とした治療戦略

がん分子標的治療 Vol.14 No.4, 91-96, 2016

現在までに多くの抗がん剤が開発され,がん細胞に傷害を与え殺傷する薬剤とある特定の分子を標的にしてがん細胞の増殖を抑制する薬剤の2つに分類される。前者は化学療法で主に用いられ一定の奏効性を示す一方で強い副作用や再発が問題であり,副作用が少なく奏効性の高い薬剤の開発が後者の分子標的薬を中心に進められている。承認されている分子標的薬の多くは,がん遺伝子を標的とした抗体や低分子化合物である。たとえばイマチニブはBCR-ABLチロシンキナーゼの阻害薬で慢性骨髄性白血病や消化管間質腫瘍などの治療薬として用いられており,またゲフィチニブやアレクチニブはそれぞれ上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性非小細胞肺がんやALK 変異陽性非小細胞肺がんなどの治療に用いられている。このように,がん遺伝子産物を標的とした分子標的薬についてはある一定の成功を収めており,がん抑制因子を標的とした分子標的薬の開発も着実に進展している。がん抑制因子のなかでも最もヒトがんで変異・失活が観察されるp53についてはさまざまな角度からがん治療戦略が立てられ,多くの抗がん剤候補が開発されつつある。本稿では,がん抑制因子p53を標的とした治療法の開発に焦点を絞り紹介する。
「KEY WORDS」がん抑制遺伝子,分子標的薬,p53経路,p53 変異,併用療法

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抄録