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Pharmacogenomics and biomarker

予後因子としての乳がんにおける免疫学的マーカー

Tumor immunology in breast cancer patients as prognostic factor

笹野公伸Monica Chan今野卓朗小野克彦

がん分子標的治療 Vol.14 No.2, 80-83, 2016

「SUMMARY」乳がんでは,局所の腫瘍免疫が臨床予後に密接に関係していることが近年報告されてきている。特に腫瘍細胞を攻撃するkiller T細胞であるCD8T細胞と免疫系を抑制するFoxp3の制御性T細胞(Treg)の割合が重要となる。CD8/Foxp3の割合が高い症例では低い症例に比較して予後は良好であることが多い。加えて,このCD8/Foxp3はアロマターゼ阻害薬の治療効果とも相関していることから,臨床予後に加えて治療効果の面でも重要な指標となっている。腫瘍免疫を抑制するTregに加えてもう1つの重要な系統は,PD-1/PD-L1に代表される免疫チェックポイントである。腫瘍細胞が発現するPD-L1は免疫細胞のPD-1を介して腫瘍免疫を全体的に抑制させるが,PD-L1の発現動態は乳がんのなかでもトリプルネガティブ乳がん(TNBC)症例の臨床予後と相関する可能性があり,バイオマーカーとしても治療標的としても注目されている。
「KEY WORDS」CD8,制御性T細胞,Foxp3,PD-L1,免疫組織化学,腫瘍免疫

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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