Pharmacogenomics and biomarker
世代別(第1,2,3)EGFR-TKIの耐性化機構
First, second, or third generation EGFR-TKIs and their resistance
がん分子標的治療 Vol.14 No.2, 73-79, 2016
「SUMMARY」上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の活性型変異(exon 19欠失変異もしくはexon 21 L858R変異など)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)ではEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が著効する。しかしながら,大多数はいずれ耐性化してしまい,その機序としては2次変異としてゲートキーパー変異であるexon 20のT790M変異が50%程度関与する。そこで,T790M変異を有する場合でも阻害できる第2・3世代EGFR-TKIが開発されてきた。第2世代EGFR-TKIは,T790M変異を有する場合の臨床効果は限定的であるが,ほかのヒト上皮成長因子受容体(HER)ファミリーを阻害できる効果や稀な変異(exon 18変異,S768I変異,L861Q変異)への効果が期待されている。第3世代EGFR-TKIは,T790M変異を有する場合でも有効性が証明されているが,新たな耐性変異であるC797S変異がすでに報告されている。それぞれのEGFR-TKIの特徴を理解することで,より効果的な使い分け,すなわち「EGFR遺伝子変異肺がんの個別化医療」が可能となるであろう。
「KEY WORDS」非小細胞肺がん,EGFR遺伝子変異,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬,耐性,T790M変異,C797S変異
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