<< 一覧に戻る

Pharmacogenomics and biomarker

抗PD-1/PD-L1抗体治療におけるバイオマーカー

Predictive biomarkers for anti-PD-1/PD-L1 antibody therapy

茶本健司

がん分子標的治療 Vol.13 No.4, 71-75, 2015

「SUMMARY」抗programmed death-1(PD-1)抗体であるニボルマブは,2014年7月に悪性黒色腫の治療薬として世界に先駆け日本で承認された日本発の免疫治療薬である。2015年3月には非小細胞肺がん(NSCLC)に対して米国で承認され,ほかのがん腫に対しても臨床試験が盛んに行われている。これまでの免疫療法と比較すると,その奏効率は単剤で20~40%,併用で50~60%と劇的に向上した。しかし,残りの患者には不応答である。なぜ残りの患者には抗PD-1/PD-1 ligand 1(PD-L1)抗体が効かないのか,その原因を解明することと,感受性の高い患者と非感受性の患者を見分けるバイオマーカーを同定することは,がん治療の領域において急務である。さらに抗PD-1/PD-L1抗体の奏効率を上げるためには,今一度基礎研究に立ち戻り,メカニズム解析を行う必要がある。抗PD-1抗体治療効果に関する臨床的知見は,数多くの総説が書かれているので,そちらを参照されたい。本稿では,PD-1の発見と抗PD-1/PD-L1抗体によるがん治療の概念を概説し,さらに抗PD-1抗体治療の今後の課題と展望について基礎的な面から総説する。
「KEY WORDS」PD-1,免疫療法,免疫チェックポイント,予測バイオマーカー,自己免疫

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る