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Cancer biology and new seeds

キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子改変T細胞療法

Gene-modified T-cell therapy using chimeric antigen receptor

中沢洋三

がん分子標的治療 Vol.13 No.4, 59-65, 2015

「SUMMARY」キメラ抗原受容体(CAR)は,主に腫瘍関連抗原(TAA)に特異的に結合する一本鎖抗体(scFv),T細胞共刺激分子(CD28,4-1BBなど)およびCD3ζ鎖の3者から構成される合成T細胞受容体の総称である。B細胞上に発現するCD19抗原を標的としたCD19 CAR-T細胞療法は,再発・治療不応性B細胞性腫瘍に対し劇的な治療効果をもたらす。CARは,蛋白のみならず糖鎖,糖脂質など腫瘍細胞に発現するあらゆる表面抗原を標的にできるため,固形腫瘍を含むさまざまな悪性腫瘍への応用が期待されている。現在,米国を中心に,骨髄系腫瘍,神経芽腫,肉腫,脳腫瘍,膵がんなどに対するCAR-T細胞療法の臨床試験が実施もしくは準備されている。本稿では,CAR-T細胞療法に関する最近の知見,現在の問題点および今後の発展性について論じる。
「KEY WORDS」キメラ抗原受容体,養子免疫療法,がん免疫療法,遺伝子治療

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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