Theme 分子標的治療を含む併用療法
消化器がんに対する分子標的治療を含む併用療法
Combination therapies including molecular-targeted drugs for gastrointestinal cancer
がん分子標的治療 Vol.13 No.3, 33-39, 2015
「SUMMARY」消化器がんに対する分子標的治療を含む併用療法は,特定のドライバー遺伝子と血管新生関連分子を標的とした治療に大別される。胃がんでは,20%程度を占めるヒト上皮成長因子受容体(HER)2過剰発現胃がんを対象に抗HER2抗体併用療法の開発が進んでいるが,それ以外のドライバー遺伝子を標的とした治療薬の成功例はまだない。一方,血管新生阻害薬併用療法については2次治療における有用性が示された。大腸がんにおいては,抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体併用療法の効果予測因子として全RAS解析が日常診療でも行われるようになった。また,1次治療における抗EGFR抗体併用療法と血管新生阻害薬併用療法の効果の比較についても新たな知見が蓄積しつつある。しかし,ほかの消化器がんでの分子標的治療を含む併用療法の効果は十分とはいいがたく,今後さらなる標的分子の探索と薬剤開発が必要である。本稿では,有効性が示された臨床試験の結果,現在進行中の臨床試験,治療標的とされている分子などを中心に紹介する。
「KEY WORDS」血管新生阻害薬,抗EGFR抗体,全RAS解析,トラスツズマブ,エルロチニブ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。