「SUMMARY」タモキシフェンはホルモン受容体陽性乳がん患者の予後を改善するが,その効果には個人差が存在する。タモキシフェンから活性代謝物であるエンドキシフェンへの代謝ではCYP2D6が最も重要な酵素であるため,このCYP2D6遺伝子多型とタモキシフェン治療効果との関連がこれまで研究され,多くの研究でその関連が支持されている。しかしながら,相反する結果も報告されている。本稿では,タモキシフェンpharmacogenomicsの最新の知見およびこれまでに報告された関連解析の結果を比較することによりみえてくる,タモキシフェンpharmacogenomics研究を行ううえで重要な点について解説する。
「KEY WORDS」ファーマコゲノミクス,個別化医療,タモキシフェン,CYP2D6