<< 一覧に戻る

特集 アルコール依存症治療における断酒と飲酒量低減

4.内科外来におけるアルコール関連肝疾患患者に対する断酒,飲酒量低減指導の実際

堀江義則

Frontiers in Alcoholism Vol.10 No.1, 24-29, 2022

欧州肝臓学会(EASL)では,alcohol-related liver disease(ARLD)を,男性30g/日以上,女性20g/日以上の飲酒に関連した肝疾患と定義している。当院内科外来にてARLD患者に簡易介入を行い,有意な減酒効果を認めた。簡易介入のみでは飲酒量の低減に結び付かない症例に対し,内科外来で飲酒量低減薬のナルメフェンを処方した症例においてその有用性を検討した結果,24週以上経過した18例中11例で飲酒量の低減と肝機能の改善を認めた。ナルメフェン投与が内科外来における飲酒量低減治療の新たな選択肢となるが,肝硬変まで至ったような例では飲酒量低減は中間目標であり,最終目標の断酒を目指すべきである。ナルメフェン投与で減酒後に再度飲酒量が増え,専門医療機関入院に同意され,紹介受診となった例も経験した。指示的な断酒要求は通院拒否に繋がることもあり,信頼関係を築くなかで,本人の意思で専門医療機関受診や断酒をしてもらうことが必要である。
「KEY WORDS」アルコール依存症,飲酒量低減,断酒,ナルメフェン,アルコール関連肝疾患

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る