特集 アルコール依存症とその他の依存
2.アルコールとギャンブル依存症
Frontiers in Alcoholism Vol.8 No.1, 16-21, 2020
DSM-5やICD-11で,ギャンブル障害が嗜癖行動として初めていわゆる「依存症」に分類され,社会情勢も相まって,ギャンブルの問題が関心を集めている。精神科医療に治療介入を求められる機会も増え,戸惑っている治療者も多いのではないだろうか。ギャンブル障害とアルコール使用障害は併存率も高く,相互に移行することもあり,それぞれのスクリーニングや必要に応じて簡易介入も行う意義があるかもしれない。ギャンブルやアルコールの問題のみではなく,背景にある生きづらさと両価性に注意してかかわることで忌避感情は減る。それぞれに有効な治療は共通するところも多いが,依存症を必要としない人生を支えるためにも医療だけで抱えるのではなく,本人や家族,さまざまな社会資源と協働して取り組むことが肝要であると考える。
「KEY WORDS」ギャンブル障害,アルコール使用障害,依存症,嗜癖行動,生きづらさ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。