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特集 アルコール依存症に合併する身体疾患とその治療

4.アルコール関連中枢神経障害

松井敏史三ツ間小百合横山顕松下幸生樋口進

Frontiers in Alcoholism Vol.6 No.1, 32-40, 2018

アルコールの慢性多量飲酒は中枢神経障害を引き起こす。なかでもウェルニッケ脳症はアルコール依存症者に発症する代表的な急性神経中枢疾患であり,意識障害・小脳失調性歩行・眼症状を3徴とする。治療は発症早期のビタミンB1大量投与が必要であるが,慢性期にはコルサコフ症候群へ移行し認知機能低下が持続する。
一方,ウェルニッケ脳症のエピソードがなくともアルコール依存症者は,頭部MRI上,萎縮・脳梗塞・深部白質病変が顕著である。脳外傷や痙攣の既往,肝性脳症などが合併していることも多く,将来のアルコール関連認知症の素地となる。認知症発症の際には,断酒に加え包括的な生活スタイル改善プログラムが悪化防止に必要である。
「KEY WORDS」アルコール依存症,ウェルニッケ脳症,コルサコフ症候群,アルコール関連認知症,高齢者

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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