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特集 アルコール依存症に合併する身体疾患とその治療

1.飲酒と脳・心血管疾患の関連 ―わが国の疫学調査結果より―

岡村智教杉山大典

Frontiers in Alcoholism Vol.6 No.1, 12-18, 2018

飲酒と死亡の関連にはJカーブ効果が認められるが,これは冠動脈疾患が死因の第一位である欧米から報告された。日本と欧米では循環器疾患の病型が異なっており,飲酒との関連を検討する際にはそれぞれの病型を考慮する必要がある。わが国の疫学研究で飲酒との関連においてJカーブ効果が最も顕著なのは冠動脈疾患であり,最もリスクが低くなる飲酒量も日本酒換算で2合程度と高めである。また脳梗塞でもJカーブ的な関連を認めるが,リスクが低くなる飲酒量は1合程度で,冠動脈疾患よりは低くなる。一方,くも膜下出血などの出血性の脳卒中ではJカーブ効果を認めず,飲酒量が増えると直線的にリスクが上がる。また,高血圧がある場合やγ-GTPが高い場合は,Jカーブ効果が減弱するため,飲酒量はより低く抑える必要があると考えられる。近年,大動脈疾患や心房細動と飲酒の関連について疫学研究の結果が報告されつつあるが,わが国からのエビデンスはまだ少なく,引き続き知見の集積が必要である。
「KEY WORDS」冠動脈疾患,非出血性脳卒中(脳梗塞),出血性脳卒中,大動脈疾患,心房細動,潜在性動脈硬化

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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