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特集 女性のサルコペニアを考える

Overview サルコペニア概論

荒井秀典

WHITE Vol.8 No.1, 5-8, 2021

高齢化とともに加齢に伴う病態の重要性が増しており,近年注目されている病態として骨格筋の加齢に伴う機能低下であるサルコペニアがある.ヒトの骨格筋量は30歳代から年間0.5〜1%ずつ減少し,60歳代以降低下のスピードが速くなり,80歳頃までに約30〜40%の骨格筋が失われるといわれているが,このような骨格筋量の減少は個人差が非常に大きい.また,性差もあり,一般的には男性のほうが女性に比べ骨格筋量は多く,筋力も強い.一方,骨格筋量や筋力の低下スピードは,絶対値で見ると男性のほうが低下のスピードが速い.
加齢に伴う骨格筋量の減少は骨密度や脳重量の減少のように加齢による生理的な現象として捉えられてきたが,高齢期にある一定量以上に骨格筋量が減少した場合には,予後と関連するため生理的な骨格筋量低下と区別すべきであるという考えから,1980年代後半にRosenbergは,ギリシャ語のsarx,peniaというそれぞれ筋肉,減少を意味する語を組み合わせて,サルコペニアという概念を提唱した1)
その後,骨格筋の加齢変化に関しては多くの疫学研究が行われたが,前向き縦断研究において死亡や転倒・骨折,ADL(Activities of Daily Living:日常生活活動)低下などさまざまなアウトカムとより強く関係するのは,骨格筋量低下よりむしろ,握力,歩行速度の低下であることが示された2, 3).その結果,サルコペニアは骨格筋量の低下だけではなく筋力,身体機能も含めて評価すべきであると考えられるようになり,その後の診断基準の確立につながる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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