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特集 AGEsと女性医療

1 AGEsと骨粗鬆症

斎藤充

WHITE Vol.7 No.2, 11-15, 2019

男女を問わず加齢に伴う性ホルモンの欠乏は,破骨細胞を活性化するのと同時に,酸化ストレスの増大による骨基質コラーゲンの劣化を招き,骨強度を低下させる.骨吸収の亢進は,骨石灰化度の低下,微細構造の破綻を誘導し,結果として骨密度が低下する.これに対し,酸化ストレスの増大は骨の単位体積あたり50%を占めるコラーゲンの翻訳後修飾である分子間架橋構造の劣化や,終末糖化産物(advanced glycation end products:AGEs)の誘導により骨強度を低下させる1-3)(図1).加齢と共にAGEsが増加するものの,生理的老化の範囲内でのAGEsの蓄積は疾病の要因となるわけではない.
AGEsの増加が過剰になると,疾患として治療介入すべき身体の変調をもたらす.従来,骨は新陳代謝が旺盛な臓器であるから,時間依存的に増加すると考えられていたAGEsの関与は少ない臓器とされていた.しかし,それは間違いであることが基礎研究,臨床研究,海外からの追試により確認され,日本骨粗鬆症学会,日本骨代謝学会,骨粗鬆症財団の代表者で構成された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会」により編集された2015年版ガイドラインに,AGEsの異常と骨粗鬆症の関連が明記された4).最も大切なことは,骨基質タンパクの翻訳後修飾は,骨の強度に影響をもたらすことは事実である.しかし,AGEsは多種多様な骨基質タンパクの翻訳後修飾のひとつでしかない.
これまでに筆者は,AGEs以外の翻訳後修飾も同一検体から網羅的に解析することを可能とし,病態解明,バイオマーカー開発,治療薬の選択を提唱してきた.AGEsだけで説明しようとすると矛盾がでることも報告してきた.また,ラットやマウスの骨はヒトとまったく異なる骨代謝を営むため,論文にはなっても診療ガイドラインには採用されない5).このようなピットフォールを熟知して,AGEsと骨粗鬆症の関連を理解することが重要である.詳細は,世界で最も引用された論文top5論文賞をのべ6年間で2度受賞した,総説1)を参照いただきたい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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