WHITE PAPER 女性の健康をめぐる新たな潮流
女性と乳腺疾患
―これまでとこれから―
WHITE Vol.6 No.1, 48-52, 2018
乳がんは戦後間もない頃に比べ,生活様式の欧米化,特に栄養状態の改善と共に,顕著に増加しており,2017年の推定値では約9万人とされる.乳がんの罹患年齢は,40歳代後半~50歳代後半にかけて,なだらかなピークを有し,他のがん腫に比べて比較的若い.この年代では,社会的には管理職であったり,家庭では,子育てを含め,母として,妻として家庭を支える重要な役割を果たしている時期でもある.
また,閉経期にも重なることからもホルモンバランスの崩れやすい年齢でもあり,さらに,乳がん治療により更年期症状が強まることもあるため,ホットフラッシュや不眠に加え,うつ状態に陥ることもある.したがって,時に精神腫瘍科や精神科あるいは心療内科との連携を必要とすることもある.
乳がんは比較的予後がよいので,初期治療後の再発予防のための5~10年にわたるホルモン剤の服用や,長期にわたる経過観察が必要である.そこで,本稿では女性のライフステージに照らし合わせた乳がん診療上の課題と,その克服に向けた対策について述べる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。