<< 一覧に戻る

Trend & Topics 痛みの分子科学

1. 電位依存性Na⁺チャネル最前線

栗原崇

WHITE Vol.4 No.2, 42-48, 2016

今から60年以上前のヤリイカ巨大神経軸索を用いた活動電位発生機構の研究をもとに,ホジキン(Alan Lloyd Hodgkin)とハックスレー(Andrew Fielding Huxley)によりその存在が仮定されて以来,電位依存性Naチャネル(Nav チャネル)はイオンチャネル研究の先駆けを担ってきた(Nav チャネルの存在は,当初疑問視されていたので,ホジキンとハックスレーの解釈も「興奮のNa説」と呼ばれていた)1,2).Nav チャネルは神経や筋など,興奮性細胞に主に存在し,活動電位の開始および伝搬に本質的に重要なものであるが,ゲーティング(チャネルの開閉)がほかのイオンチャネルに比べ速いために,その電気生理学的特徴の解析はほかのチャネルに比べ難しく,そのため,その機能は動物種,細胞種を越えてかなり固定したものという捉え方が古くは一般的であった.Nav チャネル(のαサブユニット:イオンチャネルとしての中心的機能を担うサブユニット)は,ニコチン性アセチルコリン受容体と並んで,シビレエイや電気ウナギの発電器官から最初期にクローニングされたイオンチャネルであるが,ヒトを含む哺乳類において,これまで少なくともNav1.1からNav1.9まで9種類のαサブユニットの存在が確認され,会合するβサブユニット(4種の存在が確認)や選択的スプライシングの可能性を考慮すると,かなり多様性があることがわかってきた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る