特集 Urogynecology
1 泌尿器科医からみた女性の骨盤底脆弱化に伴う疾患と治療のコツ
WHITE Vol.3 No.2, 9-14, 2015
「はじめに」女性の骨盤底脆弱化に伴う疾患とは,妊娠・出産・加齢・便秘・過重労働などにより骨盤底筋群が脆弱化することによって起きる疾患である.骨盤底は尿道・膀胱・子宮・小腸・直腸などの骨盤内臓器を支えているため,骨盤底筋群が弛緩すると尿道・膀胱がぐらぐらし,またこれらの臓器が腟から脱出してくることになる.これらの現象は,腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence;SUI),骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse;POP),過活動膀胱(overactive bladder;OAB)となって現れ,特に腹圧性尿失禁,骨盤臓器脱は女性特有である.
「腹圧性尿失禁」女性の尿失禁のうちの過半数がSUIで,労作時または運動時,もしくはくしゃみまたは咳の際に,不随意に尿が漏れる愁訴と定義される.他に,大笑い,嘔吐,縄跳び,階段または坂道の上り下りなどに尿が漏れると言い,重症例になると歩いているだけでも漏れるため,「知らないうちに漏れる.」と答える患者もいる.
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