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WHITE BOARD

振動による血流改善―褥瘡・糖尿病―

仲上豪二朗真田弘美

WHITE Vol.2 No.2, 57-60, 2014

SUMMARY
本稿では血流を安全に,しかも利用者に快適な方法で促進させる「振動」に着目した,新しいケア方法である振動療法を紹介しています.
臨床比較試験の報告より,リラウェーブ®(グローバルマイクロニクス株式会社)の使用により,Ⅰ度褥瘡の治癒促進やⅢ度以上の褥瘡での壊死組織の除去速度の促進など,臨床的効果が認められました.47Hzの振動数で微弱な振動強度であれば,血流が増加することが証明されています.
また,家庭用としては,改良したリラフィール®も現在利用可能となっています.

図1 振動器(リラウェーブ,グローバルマイクロニクス株式会社製)

 血流を改善することは皮膚の健康を保つために有効であるだけでなく,創傷治癒の促進にも効果があることが分かってきています.とくに,血流が低下することがおもな原因となる褥瘡や糖尿病性足潰瘍では血流の確保が創傷治癒にとってきわめて重要な要因となっています.本稿では血流を安全に,しかも利用者に快適な方法で促進させる「振動」に着目し,新しいケア方法である振動療法をご紹介します.

 振動療法とは,体表面に対して振動器により振動を与えることによって,微小循環の血流を促進するものです.従来,振動と血流の関係については,とくに労働による健康被害を予防する,労働衛生的な観点から研究されてきており,レイノー症候群に代表される振動障害が頭に浮かぶ方も多いでしょう.

 一方で,マッサージや筋力トレーニングなどで振動が応用されるなど,その効果的な利用方法についても近年研究が進んできています.つまり,振動はその周期である振動数と,強さである振動強度とを適切にコントロールすれば,生体にとってよい効果をもたらすことのできる物理的な現象といえるでしょう.

 創傷治癒促進への応用の研究は,ここ数年,急速に進んでいます.われわれの研究グループは振動を創傷治癒促進に役立てるため,基礎的検討から機器開発,臨床応用まで一連の研究成果を公表してきました.まず振動が皮膚血流を増加させることができるかを動物実験にて確認し1),47Hzの振動数で微弱な振動強度であれば,血流が増加することを証明しました.さらに振動が血流を促進させるメカニズムの1つとして,振動によるメカニカルストレス(力学的な負荷)が一酸化窒素(NO)を産生し,血管を拡張させることも報告しています2).

 これらの報告をもとに,振動を人に適応するための振動器の開発を東京大学とグローバルマイクロニクス株式会社が共同して実施しました.この試作品は現在,リラウェーブ®(グローバルマイクロニクス株式会社:図1)の名称で特定保守管理医療機器(特管)として販売されています.

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