Basic & Clinical Topics
[臨床①]米国人女性における血中プロラクチン濃度と2型糖尿病リスク
DIABETES UPDATE Vol.8 No.2, 20-21, 2019
プロラクチンは,授乳,生殖,代謝,免疫調節および浸透圧調節に関与する多機能性下垂体ホルモンである。健康な女性では,血中プロラクチン濃度は妊娠,授乳,身体活動,睡眠およびストレスに反応して変化する。これまでに,プロラクチンはβ細胞増殖を刺激し,インスリン分泌と感受性を改善することが報告されている1)。近年の横断的研究では,正常範囲内での血中プロラクチン濃度が高いほどインスリン感受性が高く,血糖値および血中脂質濃度は低く,糖尿病やメタボリックシンドロームの有病率が低いという関連性が示された2)。これらの知見は,糖代謝の恒常性におけるプロラクチンの潜在的な役割を示唆している。しかし,プロラクチンと将来の2型糖尿病リスクとの関係を評価する長期予測データは限られており,既報では結果が一致していない。
本研究では,総プロラクチン濃度と2型糖尿病発症リスクとの関連性を調べるために,米国の女性看護師を対象としたコホート研究であるNurses' Health Study(NHS)とNHSⅡを用いて二次データ分析を行い,糖尿病と診断される以前の異なる期間に測定された血中総プロラクチン濃度と2型糖尿病発症リスクの関連性を検討した。さらに,活性型プロラクチン濃度が総プロラクチン濃度よりも2型糖尿病発症リスクとより強く関連しているかどうかについて検討した。
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