Basic & Clinical Topics
[基礎②]miRNAスクリーニングによる新たなインスリン抵抗性メカニズムの同定
DIABETES UPDATE Vol.7 No.3, 18-19, 2018
マイクロRNA(miRNA)の主な機能は,その特異的なターゲット蛋白の発現を抑制することである。これまでにmiRNAについては多くの研究成果が報告されており,一見してその機能解析は容易にみえるが,実際には1つのmiRNAが100以上の標的遺伝子をターゲットにすること,逆に1つの蛋白コード遺伝子が多数のmiRNAによって制御されうること,さらに個々のmiRNAの発現抑制作用が概して穏やかであることなどから1),その研究は必ずしも容易ではない。
興味深いことに,40%にもおよぶmiRNAは既知の蛋白質コード遺伝子のイントロンに存在している。イントロン性miRNAと呼ばれているこれらのmiRNAは,しばしばそのホストとなる蛋白コード遺伝子と協調的に制御され機能を発揮しうることが報告されている2)。我々は今回,肥満モデル動物の肝臓で増加するイントロン性miRNAに着目し,そのホストである蛋白コード遺伝子の中から,未知の肥満・糖尿病関連遺伝子を同定できないかと考え,研究を進めた。
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