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Basic & Clinical Topics

[臨床②]メトホルミンは未治療2型糖尿病患者の腸内細菌叢を変化させ,治療効果に寄与する

菅原健二小川渉

DIABETES UPDATE Vol.7 No.2, 22-23, 2018

メトホルミンは開発以来,半世紀以上が経過する最も古い血糖降下薬の1つである。メトホルミンのもつ糖新生抑制作用は血糖降下の主要な機構と考えられており,AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を介した糖新生系遺伝子発現の抑制やAMPK経路を介さないアデニルシクラーゼやグリセロリン酸シャトルの抑制などが糖新生抑制に関与するとされる。
一方,メトホルミンの血中濃度と実際の血糖降下作用には乖離があること,そしてメトホルミンは服用後長時間にわたって消化管に留まることなどから,消化管への作用を介した血糖降下作用も指摘されていた。具体的にはメトホルミンが腸管細胞の糖利用を促進し,循環への糖流入を減少させる可能性,消化管作用によりGLP-1分泌を促進させる可能性,また消化管から中枢神経を介した経路を通じて肝糖産生を抑制する可能性などが報告され,消化管を介した多岐にわたるメカニズムが注目されている。
糖尿病患者は健常者と異なった腸内細菌叢をもつことが知られているが,最近,メトホルミン服用者では糖尿病による変化とは独立して腸内細菌叢が変化することが報告された。しかし,メトホルミンが腸内細菌に及ぼす影響の詳細やメトホルミンによる腸内細菌叢の変化が血糖降下と関係するか否かは明らかではなかった。
今回紹介する論文では,前向き二重盲検試験にてメトホルミンが腸内細菌の組成や機能へ与える影響を詳細に検討するとともに,マウスへの糞便移植実験を通じて,腸内細菌叢の変化とメトホルミンの血糖降下作用との強い関連を示している。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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