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Basic & Clinical Topics

[基礎①]1型糖尿病の新規発症メカニズム:インスリン遺伝子の欠陥リボゾーム産物に対する自己免疫

安武紗良馬場谷成池上博司

DIABETES UPDATE Vol.7 No.2, 12-14, 2018

1型糖尿病は,CD8陽性T細胞によりインスリンを産生するβ細胞が選択的かつ進行的に破壊される臓器特異的自己免疫疾患である1)。自己抗体や自己抗原に対するT細胞の反応性は,1型糖尿病診断前の無症状の時期から存在し,診断以降も継続して存在する。β細胞選択的破壊に関連するT細胞エピトープ(T細胞表面のHLA(human leukocyte antigen)分子に結合する抗原部分)の検証は,β細胞を構成するタンパク質群を中心に行われてきた。ヒトや疾患モデルマウスにおける研究により,インスリンそのものやその前駆物質が最初の標的自己抗原であることが証明され2)3),ヒト1型糖尿病において,プレプロインスリンのペプチド断片が細胞傷害性T細胞の主要標的であることが示されている4)
欠陥リボゾーム産物(defective ribosomal products;DRiP)は,これまで腫瘍において確認されている。すなわち,無秩序な細胞増殖がmRNAの翻訳を促進し,DRiPの蓄積に関与する。DRiPは,非翻訳領域の翻訳やリボゾームの読み枠のエラー,代替翻訳開始部位により生じ,悪性腫瘍細胞によって限定的に分泌される腫瘍関連抗原(腫瘍マーカー)を形成する。
本論文で著者らは1型糖尿病においてDRiPが,中枢性免疫寛容が成立しない抗原ペプチドの大きな潜在的供給源となっていることを示している。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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