「要約」
「1.目的」トリメチルアミンNオキシド(TMAO:高脂肪食のホスファチジルコリン(PC)やカルニチンから腸内細菌叢を介して生成される代謝産物)は,冠動脈疾患(CAD)に対する強力な予測因子である。しかし,慢性心不全におけるTMAOの働きについてはよく知られていない。そこで,TMAOが慢性心不全における有害事象の予測因子になるという仮説を立てた。
「2.方法」前向き観察研究で155人の慢性心不全患者を対象とした。また,100人の心不全を伴わない安定CAD患者と33人の健常者をコントロール群とした。血清TMAO値と,その前駆物質であるコリンとベタインも測定し,心不全患者の症状,原因,および移植を免れた生存率が関連するかを調査した。