「Summary」偽性低アルドステロン症は,アルドステロン分泌に異常を認めないにもかかわらずアルドステロン分泌不全を疑わせる水電解質代謝異常の病態を呈する稀な疾患である。塩喪失所見を認めるⅠ型と,塩喪失所見を認めず高血圧症を呈するⅡ型に分類される。この疾患は臨床上決して多く経験される疾患ではないが,単一の遺伝子異常に起因して多彩な水電解質代謝異常の病態を呈することから注目されるようになった。そして,病因となる遺伝子異常が同定されてから分子レベルでの機能解明が進んだことで,近年急速にその病態生理が明らかとなってきた。さらにそこから生体における水電解質代謝の新たな制御機構が解明され,偽性低アルドステロン症という稀な疾患のみならずcommon diseaseとしての高血圧症などにも深く関与していることもわかってきており,さらなる研究が期待されている。
「Keywords」PHA,ENaC,NCC,SGK,WNK