<< 一覧に戻る

Selected Papers(腎臓領域)

2型糖尿病の末期腎不全患者において血清コペプチン濃度は心血管イベントと相関する

野田裕美

Fluid Management Renaissance Vol.1 No.2, 75-77, 2011

Copeptin levels associate with cardiovascular events in patients with ESRD and type 2 diabetes mellitus.
Fenske W, Wanner C, Allolio B, et al.
J Am Soc Nephrol 22 : 782-790, 2011

要 約

1.目 的

 糖尿病を有する慢性維持透析例に対するアトルバスタチンの心血管系イベント予防作用を検討した4D試験(randomized controlled trial with atorvastatin in dialyzed diabetic patients)の事後解析であり,血清コペプチン濃度は心血管イベントと相関するかを検討したものである。

2.対 象

 ドイツの178施設に通院する18~80歳の2型糖尿病で透析導入2年以内の患者1,255名が4D試験に参加したが,このうち登録時に血清コペプチン濃度が測定された1,241名を対象に本解析が行われた。血清コペプチン濃度の中央値は,80.8pmol/Lと健常人に比べ著増していた(健常人での平均値は5pmol/L以下である1))。平均観察期間は3.96年で,観察期間中の死亡は609例であり,そのうち突然死が158例,心不全死が40例であった。4D試験の主要評価項目は心疾患死(致死的心筋梗塞,突然死,心不全死),非致死的心筋梗塞,脳卒中からなる複合エンドポイントであったが,このcardiovascular endpoint(CVE)に達したのは462例であった。このうち心筋梗塞が196例,脳卒中が102例であった。

3.方 法

 各アウトカムについて,血清コペプチン濃度の第1四分位群(51.2pmol/L以下)を基準カテゴリーとしたときの第4四分位群(122pmol/Lを超える)でのハザード比(HR)を以下の項目で補正したうえで算出することで,N末端プロ脳性Na利尿ペプチド(NT-proBNP)など他の因子に依存しない独立した予後予測能があるかを検討している。
補正項目:性別,年齢,喫煙歴,血圧,BMI,心血管疾患の既往,透析歴,4D試験のプロトコールによるアトルバスタチン投与の有無,利尿薬投与の有無,透析の除水量,透析歴,血清Alb,P,Hb,LDL-C,CRP,HbA1c,NT-proBNP。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る