Column コラム
テンセグリティ 細胞と健康をつなぐ骨組み
掲載誌
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
Vol.3 No.1 56-57,
2013
著者名
川口健一
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
「建築」は, 生身の私たちを風雨から守る「よろい(外殻)」のようなものだ. だから「建築」には, ちょっとやそっとでは壊れない頑強な骨組みが必要とされる. 建築学科に入学すると, まず最初に「三角形が最も軽くて強い骨組みだ」と習う. 三角形でできた骨組みを「トラス」という. これが建築で最も「健康」な骨組みだ. 東京スカイツリーの骨組みも, よく見ると三角形の組み合わせでできている. ところが, そのトラスにくらべて2/3の本数でも成り立つ, 常識はずれの骨組みがある. その骨組みは鉄の棒で組み立てても, 触るとフニャフニャしていて頼りない. 部材が1本でも損なわれれば全体がバラバラに崩れてしまう. しかし, そうでない限り, なぜか崩れることなく形を保ち続けることができる. 50年ほど前に, その骨組みには「テンセグリティ」という名前がつけられた注1). テンセグリティは, 不健康そのもの, かろうじて奇跡的に生きている薄命の麗人のような骨組みだ.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

