要訳と解説（2）Semaphorin 3Aによる骨保護作用

「概要」成体における骨は, ホルモンによる制御に加え, さまざまな細胞間のシグナル伝達因子によってコントロールされている. 破骨細胞と骨芽細胞のあいだのクロストークは骨の恒常性維持に非常に重要であることが知られているが, 破骨細胞と骨芽細胞の双方の分化を制御し, 骨量を規定する分子はいまだ発見されていなかった. 筆者らは, semaphorin(Sema)3Aが破骨細胞分化抑制と骨芽細胞分化促進を同時に行うことで, 骨保護作用を示すことを明らかにした. Sema3Aはneuropilin-1(Nrp1)とplexin-Aから構成される受容体複合体と結合し, immunoreceptor tyrosine-based activation motif (ITAMシグナル)とRhoAの活性化を抑制することで, RANKLにより誘導される破骨細胞分化を抑制することがわかった. また, Sema3Aは古典的Wnt経路を通じて骨芽細胞分化を促進し, さらに, 骨髄における脂肪細胞分化を抑制することも明らかとなった.