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PHOTO QUIZ

50歳代前半,男性。顔面から頸部・体幹部・足底と手掌を含む四肢全体に数mm~十数mmの赤色から褐色調の丘疹が散在し,一部落屑や中心部潰瘍を伴う。診断は?

田沼順子石浦信子

HIV感染症とAIDSの治療 Vol.10 No.1, 88-91, 2019

【症 例】
50歳代前半,男性。
主訴:全身の発疹と倦怠感。
現病歴:もともとタクシーの運転手をしていたが,8年前に突如として認知機能の低下や周囲への無関心が出現し,失職した。周囲の勧めで他院精神科を受診したところ,すぐに精査入院となり,同院入院中にニューモシスチス肺炎を発症し,HIV感染が判明した。その後当院に転院し,ニューモシスチス肺炎治療後に抗HIV療法を開始したところ,認知機能も一定程度改善がみられた。治療前のCD4数は16/μLであった。
生活保護下となり訪問看護によるアドヒアランス支援を行ったが,2年後に受診中断となった。同じ施設の住民とのトラブルをくり返し,その度に失踪・生活保護受給停止となり,体調不良で受診してはすぐに中断することをくり返していた。8ヵ月前に両手指に痒疹が出現し,疥癬症と診断された。イベルメクチン内服とフェノトリン外用で軽快を得たが,その後また受診が途切れていた。
2ヵ月前に両四肢・体幹に赤色調の発疹に気づいたが,放置していた。徐々に発疹は拡大し,著しい全身倦怠感も伴ってきたため当院を受診し,精査加療目的で入院となった。
既往歴:5年前,狭心症に対し経皮的冠動脈形成術(ステント留置)を受けた。
入院時現症:体温36.9℃, 血圧123/99mmHg, 脈拍 86/分, 呼吸回数 16/分, SpO2 97%
身体所見:身長171.5cm, 体重51kg, 右眼球結膜の充血と左下眼瞼鼻側の小隆起を認める。口腔内異常なし,表在リンパ節触知せず。心音異常なし,呼吸音清,腹部平坦・軟,両下腿に軽度の圧痕性浮腫あり。
皮膚病変:顔面から頸部・体幹部・足底と手掌を含む四肢全体に数mm~十数mmの赤色から褐色調の丘疹が散在し,一部落屑や中心部潰瘍を伴う(図1)。
検査所見:WBC 6,830/μL(neutro 80%, lymph 7%, mono 13%, eosino 0%), Hb 11.0g/dL,MCV 85.2fL, Plt 31.3万/μL, Alb 2.8g/dL, AST 27U/L, ALT 27U/L, LDH 170U/L, BUN 11.9mg/dL, S-Crea 0.65mg/dL, Na 130mEq/L, K4.2mEq/L, Cl 104mEq/L, CRP 7.53mg/dL, CD4数 366/μL(8.5%), HIV RNA量 3.72×10⁵copies/mL, HBs抗原(-) HCV抗体(-)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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